Chara

一貫して「愛」をテーマに曲を創り、歌い続けている日本で唯一無二の女性アーティストChara。1991年デビュー。翌年日本レコード大賞アルバム・ニューアーティスト賞を受賞し、1997年には岩井俊二監督作品『スワロウテイル』で劇中バンドYEN TOWN BANDのボーカル役を演じ日本アカデミー賞主演女優賞を受賞するなど、そのマルチな才能を余す所なく創作し続けているCharaのソング・ライティング作業を助けるのがPreSonusのStudio One。曲創りは一筆書きと語るCharaに、作曲方法やSWITCHした理由を独占インタビュー。









シンプルなので時短にもなる






 

シンプルなので時間短縮にもなる、Studio Oneでストレスがなくなった

昔も今もあんまり変わらなくて、私はリズムとリフから曲を作ることが多いかな。リズムはドラム・マシンを鳴らしたり、それこそ手を叩いたり(笑)。作曲を始めた頃は、ダブル・カセットでダビングしたり、2台のラジカセを向かい合わせて録音したりしていたけど、そんなことをやっていると音を重ねる度にメロディーが遠くなっていくので(笑)、8トラックのカセットMTRを手に入れて結構長く使っていました。8トラックと言っても、私はそんなに音を重ねなくて。今もそうだけど、ほとんどベース・レスだし。

最初は、自宅にスタジオを造るのをやめようと思っていたの。この家を建てた時まだ子どもが小さかったし、仕事は外でしようかなって。別にスタジオが無くてもメロディーは作れますからね。でも子どもが大きくなって、「ドラム叩きたい」とか言い始めたので、倉庫だった地下室を防音してレコーディング・ブースにして、それで将来ゲスト・ルームにするはずだったこの部屋と回線を繋げて..。だから最初はスタジオじゃなかったのを、後から工事するの、凄く面倒だった。最初から造った方がラクだったと思う(笑)。

ギターを弾きながら曲作りのフローを話すChara

今までLogic Proを使っていたんですけど、スタジオで本チャンに移す時に「あれ、あんなにがんばって作った音がちょっと違うね」とか、「なんか遅いね」とか色々あった時に、Studio Oneが良いよと言っているミュージシャン達もいて、価格もリーズナブルだし、ちょうど変えたいタイミングだったんですよ。私は一筆書きだから、シンプルで便利なのがいいし、近くにStudio Oneで有名な田辺恵二先生もいるしね(笑)。恵二とは、デビュー前からの付き合いだから、今でも助けてもらってる。

Studio Oneを導入してから、そんなに時間は経ってないですけど、昔から自宅でのプリプロを手伝ってくれている人もStudio Oneに変えて、早いとか、立ち上がりがいいとか、流し込む時のストレスがなくなったって二人で話し合ったのを覚えています。やっぱり、ストレスは嫌じゃないですか。せっかく時間をかけてもいるし、コンピューターのイメージって、忠実に再現してくれるということだと思うから。

私、本当にアナログで、一筆書きだし、まだStudio Oneベイビーですけど(笑)、でもすぐに使えて、シンプルで良いなと。ただ、セッション・ファイルも色分けとかしないし、先生には「トラックの名前を書きなさい」とか、怒られたりしましたけど(笑)。最近の若い人なら簡単に覚えられると思います。近くに先生がいなくても、YouTubeに説明動画もいっぱいあるしね。私はとにかく時間短縮がいいの。使う音色はだいたい決まっているし、アレンジのアイディアもあるから、あとは形にするだけなので。曲作りは早くやっちゃって、お料理とかしたいですし(笑)。









ミュージシャンが気持ち良い音






 

何も考えないで立ち上げて遊んでいる内にネタができることも

Charaのプライベート・スタジオ

その日にやりたい曲がある時は、例えばレゲエだったら、クリックだと盛り上がらないので、最初にStudio OneのImpactでキーボードを弾きながらドラム・パターンを組むか、あるいはリズム・ループを貼って、それからメインのリフと歌を入れて、キメを後から考えて..。良いフィルやエフェクトが浮かんだら、それも加えていくのが基本ですね。そういうアイディアが浮かんだ瞬間を逃したくないので、何でもすぐに録れるようにセッティングしてあります。ここに楽器をつなげばすぐOKみたいな(笑)。

何も考えないで、とりあえずStudio Oneを立ち上げて遊んでいる内にネタができる場合もあります。絵を描く人が、描いている内に自然とできるというか..。やっぱり何も考えない方が自分の中にあるものが出てくる気がするので、それを下書きにして、そして自分自身がインスパイアされて更に色を着けていく感じかな。これ以降は、マニピュレーターとか詳しい人と仕上げて行くって感じですね。私は昔からシンセ好きだから「あそこのレゾナンスをもうちょっと上げて」とか、言葉で伝える力は持っているので(笑)。

Studio Oneで曲作りをするChara

Studio Oneはミュージシャンが使っていて気持ち良い音なのかもしれない

もちろん自分でも打ち込みできるし、ベロシティを下げたりもするけど、曲のイメージが伝わればいいので。自分の中で描かれているものを、ディレクターなりスタッフへ、色はこの色で、主役はこの子でと伝えれば分かってくれるので。でも、ここで作って録ったものが良すぎて、本チャンでそのまま使っちゃう場合もある(笑)。それは、一筆書きだから、どうしても後から真似できないものだったりするから。ギターはあんまりオススメできないですけど(笑)、シンセとかはありますね。ディレイが付いたシンセをそのままというのはよくある。聴こえているような、聴こえていないような、アンビエント的なシンセの音とかね。

音の良さは「テイクだね」って最近エンジニアと話しています。カセット・テープでも凄く音が良い時もある。ミュージシャンが持っていて気持ち良い、弾いていて気持ち良い、使っていてやり易いとか、それが良い音っていうことかもしれないし、伝わり易いものが良い音なのかもしれないですよね。

Studio Oneは感覚的に使えて、簡単だし便利だなって思います。よく使うものは、使い易くまとめられるし、エフェクトや楽器を右からピシュッと持って来られるのも良い。ドラム音源のImpactもかなり遊べますよね。サードパーティだとSpectrasonicsのStylus RMXもよく使っていますね。









自撮りを可愛くできるなら使えるはず






 

スマホで自撮りを可愛くできるなら、Studio Oneも使えるはず

Studio OneをメインにホワイトでコーディネートされたCharaのデスクトップ

プロを目指すかどうか、シリアスな音楽がやりたいのかどうかなど、状況によって違うとは思いますけど、ゲーム感覚に近いんじゃないですかね。音楽が好きで、私もツマミをいじってパフォーマンスしてイベントをやってみたいとか、そういう気持ちがあればそれでいいと思う。

もちろん楽器が弾けた方がいいとは思いますけど、ジャズとかシリアスなものを求めなければ、フレーズか和音なので片手だけでもいい。Studio Oneに和音機能もあるけど、相対音感があってイメージできれば、Studio Oneなどを使えば近づけるわけだから。

自分のオリジナリティなものをやりたい、コピーしたものをやりたいという気持ちがあれば、絶対できるから。大人になってからでも練習すれば、指も多少は動くようになると思いますし。何回もトラックを録っていいものを選ぶとか、修正もできるし。今、スマホで自撮りを可愛く修正するアプリあるじゃない?みんな超可愛くなるけど(笑)、多分そういう意味での機能もStudio Oneにあるから。それができる位の技術がある子なら、Studio Oneもできると思う(笑)。

愛犬と一緒に

25年以上、いろんな方とセッションやコラボレーションしてきて感じるのは、テクニックだけあってもダメだし、楽器愛があるとか、自分のフレーズを信じる気持ちとか、あと、ダメージ・ジーンズと一緒で、ノイズでも良いノイズとダメなノイズがあるでしょ。それを感じ取ることとか。地方でやっている子も多いと思うんだけど、作品を発表するために東京に来なくてもいいんじゃないかな。ある日突然世界からというのも、今の時代は全然あると思うから。それに、シガー・ロスとか母国語&英語だけど素敵じゃないですか。だからそろそろ言葉も日本語でいいと思うしね。

私も子育てが終わったら将来、お婆ちゃん宅録女子になる可能性はゼロじゃないかも(笑)。だから、私もまだまだガンバルよ(笑)


Chara

一貫して「愛」をテーマに曲を創り、歌い続ける日本で唯一無二のシンガーソングライター。オリジナリティ溢れる楽曲と、ライフスタイルをも含めた"新しい女性象"を体現する独特な存在感により、女性を中心に絶大な人気を得る。1992年に日本レコード大賞ポップ・ロック部門のアルバム・ニューアーティスト賞を受賞。1996年に公開された岩井俊二監督の映画『スワロウテイル』に、劇中バンドYEN TOWN BAND のボーカルとして出演し、女優としても大きな注目を浴びる。翌年リリースのアルバム「Junior Sweet」は大ヒットを記録した。Chara=「音楽そのもの」としてその才能を余す所なく創作し続け、2016年9月にデビュー25周年を迎え、益々精力的に活動中。
[Chara公式サイト]