—— 最初に意識して音楽を聴き始めた切っ掛けとは
父親が音楽好きだったので、僕も小さい頃から音楽は好きでした。音楽を進んで聴き始めたのはバンド・ブームが起こった中学生の時で、THE BLUE HEARTSやZIGGYといった邦楽ロックが好きでいつも聴いていましたね。それで自分もバンドをやりたいなと思い、高校の入学祝いでギターを買ってもらいました。そこからは友達とバンドを組んで、ライブをやったり曲を作ったり音楽中心の毎日でしたね。
Studio Oneの魅力を語る松隈ケンタ氏
高校に入ってからは邦楽/洋楽問わず雑食に音楽を聴き始めて、特定のアーティストにハマることはなかったのですが、好きだったのがメロディーはポップでもサウンドは洋楽っぽい音楽。90年代の日本のロック・バンドって、歌は日本語でやっているのにサウンドは洋楽な感じなんですよね。J-POPの枠に洋楽のサウンドを上手くはめ込んでいたというか。それがカッコ良いと思ってバンドを始めて、自分がやっている今の音楽も正にそれ(笑)。だから中学時代から現在に至るまで、音楽の好みは全く変わってないですよ。
—— プロを目指し始めたのは
高校3年位から、コピーではなくオリジナルをやり始めました。カセットMTRと音源内蔵シーケンサーを買って録音も始めて。そうしたらその作業がとても面白くて、エンジニアになりたいなと思い始めたんですよね。僕は福岡の久留米出身で、当然地元にはレコーディング・スタジオなんか無いので、PA屋さんだったらエンジニア的な仕事ができるのではないかと思って働き始めました。そこからは一生懸命本を読んだりして、コンプレッサーやEQの使い方などを覚え、一人で色々やっていましたね。
オリジナル曲のデモ・テープも作っていましたし、先輩のバンドのレコーディングもしていました。会社にあったライブ用のコンデンサー・マイクを使ったり、自分の機材もハードディスク・レコーダーにアップグレードしたりして。本当に録音が楽しくて仕方なかったですね。その当時に並行して続けていたバンドの人気が出始めて..。自分の中ではプロのエンジニアになりたいという気持ちがかなり大きくなっていたのですが、せっかくバンドの人気が出始めているわけだし、もう少し続けてみようかなと思ったんです。
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—— Buzz 72+のギタリストとしてメジャー・デビューを果たしましたね
そうなんです。バンドのデモ・テープをレコード会社や音楽事務所とか、色々な所へ送っていました。そうしたら音楽プロデューサーのCHOKKAKUさんがデモ・テープを聴いて、僕達のことを凄く気に入ってくれたみたいで、それが切っ掛けですね。CHOKKAKUさんの事務所って、アーティストというよりは作家さんのマネージメントをしている会社で、何でそんな会社へデモ・テープを送ったのか自分でも謎ですけど(笑)。でも見出して頂いたお陰で、レコード会社と契約して上京できることになったんです。
その3年後にボーカリストが辞めることになって、活動休止して..。今振り返ると、バンド時代はダメダメでしたね。とりあえず自信だけはあって、メジャー・デビューさえすれば後は勝手に売れると思っていましたから。次のCDでミリオン売り上げて、武道館でライブやって...と考えていましたが(笑)、実際は全然売れなくて。今思うと、あの時こそ頑張って曲作りをして、楽器も練習する必要があったのですが、音楽へのスタンスが完全にアマチュアでした。
でも、バンドがきっかけでCHOKKAKUさんと知り合えて、色々なことを教わりました。音楽というのは待ちの姿勢では絶対に売れないということや、相当努力して頑張らないと食っていけないとか..。バンドは結局売れなかったですけど、あの約3年間は自分の糧になっていると思います。それで、もう迷いなく裏方でやっていこうと思いました。Buzz72+のメンバーは、これ以上ないメンツだと思っていましたし、新しいメンバーを捜すエネルギーもありませんでした。そして、当時の事務所は作家さんが多く所属していた会社だったというのも大きかったですね。CHOKKAKUさんをはじめ、周りにそういう人達が沢山いたので、あまり深く考えることなく自分も裏方でやっていこうと思ったんです。
Studio Oneがプリインストールされた商用スタジオSCRAMBLE STUDIOのコントロール・ルーム
—— 作家としてのデビュー作は
最初に使ってもらったのは、樹海というユニットをやっていたAimmyちゃんという女の子の曲「風の記憶 〜to the end of the world〜」ですね。それがアニメのエンディング・テーマに採用されて、立て続けにコンペで受かった柴咲コウちゃんの「ラバソー 〜lover soul〜」という曲がドラマのエンディング・テーマになって。それからは、徐々にコンペで採用してもらえるようになりました。
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