• Teddy Riley

    Switch to Studio One

Teddy Riley​

敏腕プロデューサー、ソングライター、キーボーディストであるテディー・ライリーは、これまで長年にわたってさまざまな活躍を見せています。20歳を前にして、自身初のビルボードHot 100プロデュース作品を発表。その後もガイ、そしてブラック・ストリートというR&Bバンドを結成しナンバー1シングル(ブラック・ストリートの「No Diggity」)をリリースし、さらには数々の有名アーティストのヒット曲のプロデュースも手がけてきました。また彼は、「ニュージャック・スウィング」と呼ばれる独自のジャンルを確立したことでも知られています。スムーズなR&Bボーカルにヒップホップやダンスポップのスタイルを組み合わせ、サンプル、ループ、ヒップホップ・スウィングビートが多用されているのが特徴です。当時、この試みは驚きをもって迎えられましたが、その後、多くの予想を裏切る事態へと進んで行きます。

1991年、ライリーとニュージャック・スウィングに大きな契機が訪れました。新しいサウンドを求めていたマイケル・ジャクソンが、ライリーに新作アルバム「デンジャラス」のプロデュースを依頼したのです。このアルバムには、「リメンバー・ザ・タイム」、「ジャム」、「イン・ザ・クローゼット」などのシングル曲が収録されていました。このアルバムは売上枚数3200万という大ヒットを記録し、ニュージャック・スウィングのムーブメントを代表する作品となり、またライリーとマイケル・ジャクソンのつながりを確立させる機会となりました。

 

このアルバムのサウンドは、アグレッシブでビートが際立ち、まさにライリーの真骨頂が発揮されたものとなっていました。たとえマイケルのようにダンスすることはできなくても、思わずビートに合わせて体を動かしたくなる。たとえ足を骨折して車椅子の状態であっても、踊り出さずにはいられない。「デンジャラス」はまさにそのような作品でした。


新しいMJミュージック

Michael Jackson/MICHAEL

ソニー・ミュージックエンタテインメントは、故マイケル・ジャクソンの新しいアルバムをリリースするという大型プロジェクトを発表し、シリーズ第1作目を飾るMICHAELは、テディー・ライリーを含む複数のプロデューサーにより制作され、ライリーはこのプロジェクトに使用するメイン・ツールのDAWソフトウェアとしてStudio Oneを採用しました。そして、PreSonusのオーディオ・インターフェースFaderPortコントロール・サーフェスも合わせて導入し、ライリーのチームは全てのプロジェクトをStudio Oneへと移行させました。

このインタビューは、マイケル・ジャクソンの新しいミックス作業の最中に行い、ライリーは自分のチームの作品についてこう話しています。

 

「最高にクレイジーな競争になるだろう。とにかく音質がすごい。アルバムの他の曲とは比べものにならないと思う。別にズルをしてるわけじゃなく、とにかくサウンドのクオリティは傑出したものになると思うよ。クリアでクリーン。最高のチーム・メンバーと、最高のエンジニアを3〜4人オファーしてスタッフは十分揃ってる。チーム全員の耳を満足させることができればミックスは完成。何かしら注文を付けるところが見つかってる間は、作業は終わってないってことだね」

ライリーはソニーからオリジナル・トラックを受け取り、曲部分を除き、マイケルの声といくつかの要素を残した上で、そこにかぶせる形で新曲を制作していきます。

「作業は楽しかった。そう思わせてくれるソフトウェアを使用してるからね」とライリーは話します。「皆本当に感心してるよ、僕があんまりすばやく作品を仕上げちゃうからね。最初の曲には3〜4時間かかったかな。家に帰るときになって思ったね、もう終わりかよって。でも、その次の曲ではかなりのリサーチが必要だった。リスナーにすごいなと思わせるようなループやサウンドを見つける必要があったんだ。マイケルはサウンドにこだわるアーティストだったからね」

このプロジェクトをプロデュースする上で、ライリーは、マイケルならどのようなサウンドを求めるだろうかということを意識していると言います。ときには、マイケルに倣って、大音量で曲を流してみたりもします。マイケルがこれまでにない新しいサウンドを追い求めていたことを、ライリーは心得ています。

「マイケルと一緒にデンジャラスで仕事したときだけど…マイケルが踊り出すんだ。それがマイケルが気に入っているっていうサインだったんだ。だから、こう意識するようにしてる。どうしたらマイケルを踊らせることができるだろう、ってね。バラードを作ったときはこんな風に思った。マイケルがこのストリングスのアレンジを聴いたら、胸をぎゅっとつかむ仕草をするだろうってね。何かを感じ取ったとき、マイケルはいつもあの仕草をするんだ。周りの人間は、その仕草でマイケルの思いを知ることができたんだ。もしマイケルがここにいたら、Studio Oneを見てこういうだろうね。全部これでやろうよって。マイケルはサウンドにストイックだったから、何もかもこれでやるべきだよっていうだろう。まったく同意見だね。誰も聴いたことのないようなサウンドを生み出したいと思ってるよ」


Studio Oneに出会うまでの道のり​

ハーレムでのプロジェクトからスタートさせたそのキャリアを重ねながら、ライリーは常に理想のDAWを探し求めてきました。かつて、ライリーはAtariコンピューター用に開発されたCLab Notatorを愛用していました。Notatorは、現在のApple Logicの原型となったアプリケーションです。しかし、ライリーはLogicを使用したいとは考えていません。Logicの操作感と複雑さを好まないためです。Steinberg Cubaseを使用していたこともありますが、使っては止め、しばらくしてまたCubaseに戻るということを繰り返していました。

「行き詰まってたね。求めてるものはこれじゃないっていうことは分かってた。やりたいことがすばやく簡単にできないんだ。その後Avid Pro Toolsも試すも、ワークフローとサウンドが好きになれず納得する物を探し続けるしかなかったよ」

「ネットで探し回ったよ、何かいいものはないかってね。試しに(Cockoの)Reaperに切り替えてみた。スキンを変更できるって話でね。2〜3週間使ってみたけど、やっぱり満足できなかった。結局またCubaseに戻ったけど、不満は解消されないままだった。Performerも使ってみたけど、あれは気に入らなかった。ユーザーフレンドリーさに欠けてると思うし、レスポンスも悪い」

そして、PreSonus Studio Oneの存在を知り、デモをダウンロード。すぐに気に入ったライリーは、Studio One Artistを購入後、マスタリング・スイート(プロジェクト・ページ)やVST/AUプラグインへの対応などの追加機能を利用するため、Studio One Proへとアップグレードしました。

 

Bad Rabbits

「マイケル・ジャクソンの甥でバンド「3T」のメンバーでもあるタリルに電話したのはその時だよ。Studio Oneってソフト、凄いよ。だけど、全部やりたいならStudio One Proを買わなきゃだめだ。そうすれば完璧だってね。タリルはこう言ったよ。どうせ2週間後、6ヶ月後にはまた別のソフトウェアに乗り換えちゃうんだろって。その2ヶ月後に電話してきて、まだStudio Oneを使ってるのかい?と聞かれたんだ。だからこう言った。もちろん!最高だよ。Studio OneでBad Rabbitsのアルバムを仕上げたばかりだってね」

「あのときは20トラックくらい作成したかな。Bad Rabbitsの前で曲を流してみたんだ。曲を次から次へと再生していったんだけど、自宅の小型モニターでいい音質に仕上げたものが、スタジオのラージ・モニターで聴いたら、とてつもなくいい音質だった。思わず言ったよ。これだ、これでもうシーケンサーを探しまわる必要はなくなったって。シーケンサーの見た目にはこだわらないし、ホストの見た目も気にならない。スキンなどのアピアランス設定もいいけど、とにかくユーザーフレンドリーでなければ使うことはできないよ」


フォーカスは音楽に​

ライリーは、ツールに邪魔されない、迅速で直感的な制作環境を望んでいました。

「自分を再び解き放ってくれるようなアプリケーションの登場を待ち望んでいたんだ。それがStudio Oneだった。このソフトウェアでは、煮詰まってしまうことがないんだ。誰でも、自分の使用しているDAWに満足してなきゃだめだ。彼女や彼氏みたいなもんさ。手を焼くことだってあるけれど、それでも一緒にいられて幸せだっていうね。Studio Oneは僕にとって、毎朝目が覚めるたびに本当に素敵だよって言わずにいられない彼女みたいなもんなんだ。まさにそんな感じさ。Studio Oneなら、頭に浮かんだアイデアを確実に具体化することができるんだ。いつだって最高の結果が得られる。もっと何かをしたい、もっと音楽を作りたいと思わせてくれるソフトウェアなんだ」

 

ライリーは、Studio Oneのドラッグ&ドロップ機能が非常に使いやすく、ミュージシャン仲間や楽器演奏しないプロにとっても最高の選択だと言います。

「小さな子供に触らせてみるのもいいね。音が聞こえるから絶対喜ぶよ。子供って、音が聞こえるとそれに合わせて歌ってみたり、いろいろ触ってみたくなるものだけど、ドラッグ&ドロップならそれも簡単だ。DJやシーケンスを制作するアーティストってのは、楽器を演奏しない人も多いんだ。そういうミュージシャンにもドラッグ&ドロップは便利だね。Studio Oneは操作感が抜群なんだ。使った人は誰もがそう思うはずだよ」


テディー・ライリーの挑戦​

いうまでもなく、サウンドの制作から楽曲の完成まで維持される最高のサウンド・クオリティは、ライリーにとってなくてはならない要素です。この点でStudio Oneに勝るアプリケーションは存在しないとライリーは話します。

「このソフトウェアなら誰の挑戦でも受けられるね。互いに同じラップトップを使用して、全く同じ内容のセッション・ファイルを使用するんだ。相手は自分の使用してるコントローラー、僕はPreSonusのFaderPortで、マスターを同時に0dBから10dBまで徐々に上げていく。他のソフトウェアなら、8dBくらいでクラック・ノイズや歪みが生じるだろうね。でもStudio Oneなら歪みが生じない」

「マイケル・ジャクソンのプロジェクトでは、タイムストレッチ用にテンポを設定した。後でテンポを上げたい時のためにね。92bpmから98bpmに上げてたんだけど、サウンドには全く影響がなかった。テンポ変更も自由自在なんだ。マイケルの声だって簡単にテンポを変えられる。その後、曲部分を抜き取って、マイケルの声に合わせて新しい音を作ったんだ。Studio Oneでトラックを完成させてから、Pro Tools用にファイルを書き出してミキシング・エンジニアに渡したんだ。そのときのPro Tools & 192 I/Oのサウンドが僕にはしっくりこなかったんだ。エンジニアがミキシングにとりかかったんだけど、結局、完成したミックスにも満足できなかった。その音には、Studio Oneを使用して、Open LabsのNekoでプレイした時の、PreSonusオーディオ・インターフェースから出力したサウンドにはあったアグレッシブさが欠けていたんだ」

「エンジニアがミックスを終えた後、こう提案したんだ。こっちを聴いてみて欲しいってね。それでStudio Oneで制作したミックスを聴かせた。そしたら皆、こっちにしよう、このまま送ろうって言ったんだ。ソニーもミックスをすごく気に入ってくれて、次の曲も手がけて欲しいと言ってきて、どんどん曲を渡してきたんだ。これもStudio Oneのおかげさ」

 

「Studio Oneならノブやフェーダーを触れば、たとえそれが0.5dBだったとしてもそれを感じることができるんだ。他のDAWでは触っても、1dB以上にならないとその違いが分からない。でも、Studio Oneならそれをきちんと感じられる。フェーダーを動かしたり、ノブを回したりしたときの感度の差はすごいね」

PreSonus FaderPort

特にライリーを悩ませていたのは、DAW上ではいい音に聞こえたサウンドが、他のアプリケーションで再生すると歪んでしまう場合があることでした。

「192 I/Oでインジケーターが反応してるにもかかわらずいい音質で聞こえるサウンドが、iTunesやWindows Media Playerで聴くとクリッピングしてるなんてことがある。他のDAWでも同じだ。いい音だと思っても、ああ…とがっかりさせられることがよくある。でもStudio Oneなら、10dBを超えていても、iTunesやWindows Media Playerで再生したとき、Studio Oneで再生したときと同じように聞こえるんだ。12dBでもディストーションの心配をする必要がない。クリーンなサウンドが得られるんだ。最高だよね。音が大きすぎるかもっていう心配が無用なんて、想像できるかい?でも本当なんだ。まったく気にしなくていいんだよ!」


プラグイン​

マルチバンド・ダイナミクスPreSonusのネイティブ・エフェクト・プラグインとバーチャル・インストゥルメントも、ライリーのお気に入りです。「どれもすばらしいね」とライリーは熱心にこう話します。

マルチバンド・ダイナミクス

「EQとリミッターはマスターに使用してる。マルチバンド・コンプレッサーも使ってるよ。ボーカルにアグレッシブさを、キックにパンチを加えることができるんだ。ワークスペース(アレンジ・ウィンドウ)で使うのがベストだね。こうするとマスタリングでのクリッピングがない。Studio Oneのシーケンサー部はとても強力だね」

 

ライリーは、PreSonusがStudio Oneアップデートを定期的にリリースしていることについても評価できると話します。

「何かリクエストを出すと、それが次の週には(Studio Oneに)搭載されてるんだ。Studio Oneで、できないことはほとんどないね。このホストアプリケーションなら、何でもマニピュレートできる。ドラッグ&ドロップも思いのまま。別のソングからドラッグすることだってできるんだ」最後にライリーはこうもコメントしています。「ソフトウェアをしっかり理解するには、自分で触って、試行錯誤してみるしかない。Studio Oneの人気はさらに広がりを見せている。僕がすすめた相手は皆、Studio Oneを使い始めてるよ」

和訳:株式会社ジェネレックジャパン|マーケティング