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ナカシマヤスヒロ ナカシマヤスヒロ studio Mojo
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作曲家として様々なCM・映像作品などの音楽を手掛けるナカシマヤスヒロ氏は、フォルクスワーゲン、アストンマーティン、Googleなどグローバル企業の作品を数々手掛け、今後ワールドワイドな活躍が期待される日本人作曲家の一人です。修正作業が多い映像作品において、軽快な動作、高速なオフライン・バウンス、低レーテンシー、そして高い処理精度とサウンドを誇るStudio Oneへのスイッチは、タイトなスケジュールを確実にこなすために必然だったと語るナカシマ氏へ独占インタビュー。

    

Studio OneからSoundCloudへアップ、そして世界へアピール

—— 日本に在住しながら海外の大企業のCM音楽を数多く手掛けられていますが
 経緯としてはSoundCloudが大きいですね。数年前からSoundCloudって面白いなと思って趣味で作った曲をアップしていたんですよ。一部の楽曲はクリエイティブ・コモンズ扱いにして、自由に使っていいですよという感じにして。そうしたら各国の人たちからコメントが付くようになって、映像に作曲して欲しいという依頼が来るようになったんです。最初はドイツのホテル・チェーンのWeb用プロモーション映像の音楽でしたね。

—— どの様にナカシマさんの音楽にたどり着くのですか
 理由はよく分かりませんが、多分タグじゃないでしょうか。僕の場合、CinematicとかOrchestralとかのタグを付けておくんですよ。映像のクリエイターって音楽に困っている人がとても多いんです。だからSoundCloudなどで仮の音楽を探して、とりあえず合わせてみるみたいなんですが、それが想像以上に上手くハマってしまうことがあるようなんです。

Studio Oneで編集作業を行うナカシマ氏
Studio Oneで編集作業を行うナカシマ氏

 仮のつもりで付けたのに、本チャンがそれを超えられなくなってしまう(笑)。だからSoundCloudで最初に来た仕事も、「この楽曲が気に入ったから僕の映像に合わせて編集してもらえませんか」という依頼でした。その後、同じ人から、「今度はオリジナルの曲を作って欲しい」という依頼が来たんですけどね。そういった感じで、海外から仕事が来るようになりました。世界で仕事をしたいという人にとって、SoundCloudは良いアピールの場になると思います。Studio Oneなら、プロジェクトから直接SoundCloudにアップできるのでとても便利ですよね。

—— 映像系の仕事を多く手掛けられていますが基本的なワークフローとは
 クライアントから映像を貰える場合は、それをStudio Oneに読み込んで作業を始めます。その段階での映像は完パケのものではなく、荒編(ラフに編集されたもの)だったりするんですけどね。そして映像を見ながら普通にMIDIで作曲するという感じです。クライアントから貰える映像は、MOVファイルだったりMP4だったりするんですけど、そのまま読み込むと頭だけ微妙にモタつくことがあるんですよ。同期自体は完璧なんですけどね。何でモタつくんだろうと思い、いろいろ試していたらDV/NTSCフォーマット(ドイツからの案件の場合には秒間25フレームが多いのでDV-PAL)に変換すればモタつかないことがわかって、それ以降は変換して読み込むようにしています。こうして曲作りが終わったら、あとはステレオのWAVで書き出して納品するという流れですね。

 タイムライン・ルーラーの単位は、もちろん小節/拍子なんですが、Studio Oneでは時間単位でマーカーを打つことができるので、映像を見て気になったポイントには作曲時のガイド用にマーカーを打っています。例えば「ここは盛り上がる部分」とかそんな感じで。本当は異なる単位のルーラーを同時に表示できたらいいんですけどね。これは将来のバージョン・アップでぜひ盛り込んで欲しい機能のひとつです。

マクロ機能を活用することで複雑な操作にも対応できる

—— Studio Oneを使い始めた切っ掛けとは
 大学時代はCubaseで、プロジェクト・スタジオに入って以降はずっとAvid Pro Toolsを使っていました。でも2年位前に、FacebookやTwitterなどのSNSでStudio OneというDAWが良いらしいという情報が頻繁に流れてきて、それで気になり始めたんですよ。そうしたら知り合いのエンジニアが、FacebookのStudio Oneユーザーが集うコミュニティに招待してくれて、そこの書き込みを見たらますます気になって、とりあえずデモ版を落として試してみたんです。そうしたら動作が軽快で、音質もすごく良い印象で、これはもの凄くいいんじゃないかと。当時のPro Toolsでは出来なかったオフライン・バウンスにも対応していたので、一気に乗り換えてしまいました。確かStudio Oneがバージョン2になって間もない頃ですね。

—— 実際に仕事で使い始めていかがでした
 ありきたりな感想になってしまうんですが、何と言っても音質が良くて動作が軽い。普通、ソフトウェアで良い音質を求めたら全体的に重くなって行く方向性だと思うんですけど、それが逆の状態って凄いなと思って。他のDAWソフトウェアとの比較試聴もやってみたことがあるんですが、Studio Oneの方が断然良かった。動作も軽快で、安定性も抜群。最近はトラブルらしいトラブルにも出くわしたことはないですしね。あとはMelodyneインテグレーションも素晴らしいですし、マルチトラック・コンピングも使いやすい。ステムの書き出しも速く、本当に良く出来たDAWソフトウェアだと思っています。

Studio Oneがプリインストールされたプロジェクト・スタジオのstudio Mojo
Studio Oneがプリインストールされたプロジェクト・スタジオのstudio Mojo

—— Studio Oneで特に気に入っている機能は
 マクロ機能を活用することで、複雑な操作にも対応できるのが良いですね。例えば、何種類かのよく使うベロシティをマクロ機能にアサインして、選択したノートのベロシティをキーコマンドで素早く変えられるようにしたりとか。Logicだとエンバイロメントを使えば同じようなことができるのかもしれませんが、それ以外のDAWでStudio Oneのように各機能を柔軟に使いこなすことはできないのではないでしょうか。

 因に僕は、キーコマンドはオリジナルの設定で使っています。Pro Toolsの使用期間が長かったので、その時のキー・アサインをベースに、自分が使いやすいようにカスタマイズして。だから他の人は僕のStudio Oneは使えないと思いますよ(笑)。

—— 自宅のメインシステム環境は
 コンピューターは、27インチのiMac(Late 2012)で、CPUはCore i7の3.4GHz。内蔵ストレージは1TBのFusion Driveでメモリは24GBすね。オーディオ・インターフェースはApogee Duet 2で、マスター・キーボードは88鍵のCME UF80。あとはモニター・スピーカーとしてFocal CMS40がある位で、本当にシンプルなセットアップですよ。ハードウェアの音源モジュールやシンセサイザーは一切使っていません(笑)。

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