—— プラグイン・インストゥルメントの拡充、スコアやMIDIリスト・エディターなどの要望が日本でありますが
Arnd:これらは、日本だけではなく世界各国のカスタマーから多く寄せられている要望ですね。先程マティアスが話した通り、Studio Oneのバージョン2ではオーディオにフォーカスを置いていました。ですので、今後はそれ以外の機能拡張を検討しています。やりたいことは沢山あるのですが、コンパクトなチームなので開発にはどうしても時間が必要ですね。
ですが、要望を含めてStudio Oneの方向性については理解できているつもりです。詳細については話せませんが、Studio Oneをよりパワフルなソフトウェアへ進化させるための必要なアイデアについてはハッキリしています。
PreSonus Softwareのジェネラル・マネージャー、アーンド・カイザー
Matthias:こちらから質問しても構いませんか?どうして日本のユーザーはMIDIリスト・エディターが必要なのでしょうか。MIDI機器を沢山使用しているからでしょうか。
MI7:コンピューターだけで音楽制作をしている人も増えていますが、シンセなどの外部MIDI機器の使用やMIDIリスト・エディターに対する慣れもあると思います。
Arnd:なるほど。ドイツでもLogicやCubaseでMIDIリスト・エディターに慣れ親しんでいるユーザーが沢山います。MIDI情報を別の形で確認したいんですね。間違いやエラーを見つけやすくもなりますから。リクエストがあるのも理解できます。
Matthias:面白いのは、Studio Oneでは内部データの表示にMIDIを使用していないので、MIDIリスト表示を実現するためには、MIDIの様に見えるために模造しなければならないんです。少なくとも解像度がかなり違ってきます。MIDIは通常7 bitですが、Studio Oneのコントローラー・カーブには32 bitや64 bit浮動小数点を使用しています。ですので、表示させるには数値を7 bitに縮小する必要があります。もちろん不可能ではないと思いますが…Studio Oneの内部的にはMIDIでは実現できない高解像度を使用する様に努めて来たので…。
Arnd:つまり、MIDIリスト・エディター対応をやるとなるとToDoリストの項目がものすごく増えるということですね(笑)。
—— Studio Oneと言うネーミングの由来とは
Matthias:元々は、仮のコードネームが「StudioApp」だったんです。スタジオ・アプリケーションという意味合いですね。もちろん、製品名は独自性のあるものでなければなりません。誰が思いついたのかハッキリとは覚えていませんが、既に「Studio」というワードがあって、その後開発チームの誰かがレゲエ・レーベルの「Studio One」というネーミングは使用可能だろうか、と言い出したんだったと思います。
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Arnd:「Studio One」というのはスタジオで一般的な用語でもあります。大型スタジオ施設には沢山の部屋がありますが、第1スタジオが一番良い部屋であることがほとんどです。最高の機材、最大のレコーディング・ミキシング・コンソールが設置された部屋…正に「名は体を表す」です。Studio Oneの「One」は、単なる名前でもなく数字でもありません。ですからStudio Oneは固有名詞のようなもの。それだけで、クオリティの高さを表現しているのです。Studio Twoでのレコーディングは、Studio Oneでのレコーディングには及ばない、と言うことです。実はこの名前を聞いたとき、この名前がまだ商標使用されていないことに驚きました。これほどまでにシンプルでキャッチーなネーミングをまだ誰も使用していないなんて…。このネーミングに慣れて頂ければ嬉しいです。「Studio One 1.5」、「Studio One 2」、「Studio One 2.5」、「Studio One 3」…年を重ねれば耳馴染みも良くなってくると思います。
PreSonus Softwareの開発チーム
—— 日本のユーザーへのメッセージを
Arnd:日本のユーザーからは、本当に沢山の好意的なレスポンスやフィードバックを頂いて大変感謝しています。特に日本のユーザーは、Studio Oneのクオリティの高さ、そしてサウンドとワークフローを高く評価して頂いています。ですので、とても開発の励みにもなっています。今後も是非フィードバックをお寄せください。Studio Oneの感想や要望を聞けることは嬉しいことです。私達も、日本のユーザーの要望にお応えできるよう努力していきます。本当にご支援に感謝します。
Matthias:私が言いたかったことはすべてArndが話してしまいました…(笑)
Matthias Juwan|マティアス・ジュワン PreSonus Software CTO 大学でコンピューター・サイエンスを学び、卒論の一環でKristal Audio Engineの初期バージョンを開発。2000年からSteinbergでCLEAN、myMP3、Cubase SX、HALion、Plexバーチャルシンセなどを担当。2006年にWolfgang KundrusとKristal Labs社を立ち上げ、PreSonusのStudioLive用のCaptureやStudio Oneを開発。
Arnd Kaiser|アーンド・カイザー PreSonus Software General Manager キーボードプレイヤー&プロデューサーを経て、2003年から2010年にかけてSteinbergでCubase SX3からCubase 6までのプロダクト・マネジャーを担当。2012年にPreSonus Softwareに入社し、Studio One、Captureなど全てのソフトウェアを統括。
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