—— ベースとなっているモダン・コードとは
Matthias:Studio Oneのコードはかなり新しくて、レガシーがあまり含まれていません。クリーンでオブジェクト指向、そして再利用可能な方法でゼロから構築しています。それで、現代風と言う意味で「モダン・コード」と呼んでいます。
Arnd:Studio Oneの誕生から数年経ちましたが、それでも15〜20年選手の他社製品と比べると新しいです。これらのプロダクトのオリジナルのコードを書いた開発者はもうそのメーカーでは働いていないかもしれません。そうなると維持がとても困難です。そして、コードはどんどん肥大化し、それに対する回避策が構築され、結果としてコードの効率が下がります。これは安定性にも大きな影響を与えます。
PreSonus SoftwareのCTO、マティアス・ジュワン
モダン・コードをベースとしているStudio Oneは軽快でコンパクトです。立ち上がりも非常に高速です。これらはモダン・コードに共通するポイントだと思います。他のコードとの違いはここにあると思います。古いコードに頼るのではなく、ゼロからまったく新しいコードを記述するメリットです。
—— バージョン2のコンセプトとは
Matthias:Studio Oneのバージョン2では、トランジェント検出などのオーディオ編集機能が新たに追加されています。また、ピッチベースの編集を可能とするMelodyne機能、コンピング機能も追加されています…MIDIではなくオーディオに重点を置いたものになっています。オーディオに関しては、言うまでもなくMelodyneは業界随一の製品で、最高のクオリティのピッチ補正ツールです。ただ、ホストとプラグインなのでいくつかの制約が生じます。オーディオをプラグインに転送し、処理後にプラグインからホストに再び転送しなければなりません。
この転送というステップを排除できないかと考えCelemonyに話をしてみたところ、彼らもアイデアを気に入ってくれました。それで、1年以上に渡って密接な連携を行い、ARAの仕様とStudio Oneへの統合を完成させました。このコラボレーションで良かったのは、プラグイン開発元でこの分野に豊富な知識を持っているCelemonyと、ホスト開発の実績に長けているPreSonusが共同して互いのメリットとなる様なインターフェースを定義することができたことです。お互いの知識を活用することができたので…
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—— 楽譜作成ソフトウェアのNotionを傘下に収めましたね
Arnd:PreSonusが楽譜作成ソフトウェアのNotion musicを買収したこと自体驚きだったと思います。しかし、戦略的には理にかなっています。Notionは、Studio Oneをパーフェクトに補完する製品になるからです。ご存じの通り、Studio Oneにはスコア機能が用意されていません。一方、NotionはStudio Oneと同じモダン・コードで開発された新しいソフトウェアで、非常にユニークな機能をいくつか搭載しています。また、プライスも魅力的です。
Notionの開発チームが加わったことで、Studio Oneの技術をNotionに活用したり、Notionの技術をStudio Oneに導入したりというソフトウェア統合の可能性が広がりました。今後、Studio OneとNotionの統合に関する沢山の素晴らしい機能が発表されて行くと思います。そして、教育分野についても言及しておくべきでしょう。教育分野は、PreSonusにとって非常に重要な分野だと考えています。
PreSonusではAudioBox STUDIOやMusic Creation Suiteをリリースしましたが、このパッケージには必要なハードウェアとソフトウェアすべてが含まれており、教育分野にも最適な製品です。オーディオ・インターフェース、ヘッドフォン、マイク、Studio Oneなど教育に必要な要素全てが1パッケージになっています。Notionの新しいバージョンでは、Studio Oneの技術もいくつか組み込まれているので試して欲しいですね。
日本での発売も予定されているモダン楽譜作成ソフトウェアNotion
—— Studio Oneにスコアリングが実装される可能性は
Arnd:可能性は十分にあります。ただ、PreSonusではトータルな可能性の検討を行っています。私達が理解すべきことは、ユーザーのワークフローと、そのためのユーザーのニーズです。時には、特定のタスクに特化した個別のアプリケーションを使用した方が便利な場合もあります。また、あるアプリケーションから別のアプリケーションへの素材の受け渡しやデータ交換で問題が生じる場合もあると思います。さらには、コードの統合がテーマとなる場合もあります。ですので、これらすべてを総合して検討しています。
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