—— バックグラウンドを教えてください
ビジネス・パートナーのシュテファン・ベルンゼーがDSPを、私がプロダクト・デザインと仕様を担当しています。私達はどちらも、プロフェッショナル・オーディオ・エンジニアリング畑出身です。シュテファンは80年代後半にコンピューターとシンセサイザーを通じて自身の道を切り開き、マスタリング・エンジニアでレコーディング・アーティスト、そして熱心なピアニストでもあります。私はソングライティングやサウンド・デザイン、そしてこれまで100を超える作品をプロデュースしてきたバックグラウンドがあります。
Native Instrumentsなどとも仕事をしてきて、いくつかのMASCHINE Expansions、MOLEKULARモジュラー・エフェクト・プロセッサーの開発にも携わりました。ですので、現場で「こんなことやあんなことのできるツールがあればいいのに…。結果を出すのにこんなに労力がかかるのは困る、何か良いソリューションはないものか…?」という場面はよくありましたね。それは単にそういうツールを開発している人がいなかったからです。なので、自分達でやるしかなかったわけです。
Zynaptiqの誕生を語るCEOのDenis Goekdag
—— 長いキャリアをお持ちだと思いますが
ソフトウェア開発とオーディオ制作には合計すると40年携わっています。パートナーのシュテファンは90年代にOrange Vocoderで一世を風靡したProsoniqを立ち上げています。また彼は、医療用ソフトウェア、画像処理、パターン認証など、刺激的なフィールドで多くの仕事を成し遂げています。だから、彼はソフトウェアの豊富な経験を持っています。私は、90年代にコンサートでの演奏やレコード制作で多忙になり過ぎで大学は止めてしまいましたが、それ以来ずっとプロフェッショナル・オーディオです。
|
|
—— Zynaptiqはどのように誕生したのですか
Zynaptiqという名前は、知性を司る脳の「シナプス」から取りました(名前に「IQ」が入っているのもそのためです)。神経構造をコンピューターでモデリングしようという私達の試みを示すものでもあります。「Z」は、ファジィ論理の概念を提唱し、シグナル・プロセッシング理論とパターン認識における重要なキーコンセプトを研究したロトフィ・ザデーへの賛同を示すものです。また、「Z」はアルファベットを締めくくる文字なので、ユーザーがそれ以上のものを必要としない決定的なソリューションでありたいという思いも込めています。
ProsoniqファウンダーでありDSPデザインを担当するStephan Bernsee
シュテファンとこのプロジェクトについて相談し始めた当初、私はSurround SFXのサンプル・ライブラリのプロデューサーをしていて、そのコンテンツにバンドルさせるプレイバック・デバイスが欲しいと考えていました。シュテファンのことは、Hartmann Music(シュテファンの会社ProsoniqがNEURONシンセシス・エンジンを開発)のサウンド・デザイン・チームとプロダクト・スペシャリストから話を聞いていて、カスタム・ソフトウェアが必要なら彼に相談するのが一番だと考えていました。
いざ会って話をしてみると、オーディオ・ソフトウェアに実装させたい共通のアイデアがたくさんあることが分かり、「これは設定どうこうの話じゃない。一緒にプロダクト作りをするべきだ。素晴らしいプロダクトができるはずだから」という結論に達したのです。そこにたどり着くまでに、30分もかかりませんでしたよ。それで「OK、起業しよう。やるしかない」と決めたんです。
|
|
|