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浅田祐介 浅田祐介 浅田祐介 浅田祐介
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CharaやCHEMISTRY、Crystal Kay、キマグレンなど、トップ・アーティストの作品を数多く手がける音楽プロデューサーの浅田祐介氏は、早期にStudio Oneを導入したひとり。その優れた音質とシンプルな操作性、Melodyneインテグレーションなどのユニークな機能に惹かれて“スイッチ”した浅田氏が手がける話題のプロジェクト、j-Pad GirlsのプロダクションでもStudio Oneをフィーチャー。そんな浅田氏にスイッチした理由とそのインプレッションを独占インタビュー。

      
 

Studio Oneの音質の良さはモデリング系のシンセを鳴らせば分かる

—— 使い始めてすぐにStudio Oneに移行されたのですか
 Pro Toolsに後ろめたい気持ちがありながらも、そっとMIDIキーボードを外してWindowsマシンの方に付け替えて(笑)。そこから曲作りは、ほぼStudio Oneだけでやるようになりましたね。その時点で何曲か進行中のものがあったので、外せないTDMプラグインとかもあり少しの間ミックスだけはPro Toolsでやっていましたけど。でも今では99パーセント、Studio Oneで作業しています。

—— 移行された一番のポイントは音質ですか
 そうですね。Studio One、本当に音が良いです。中低域にコシがあって、上の方がスムースというか..。CubaseやNuendo系に近いサウンドだと思うんですけど、本当に良いですね。Studio Oneを試す人に聴いてもらいたいのは、まずモデリング系のソフト・シンセ音。同じソフト・シンセでも、Pro Toolsで鳴らすのとはまったく音が違うんですよ。Pro Toolsを使っていた時も、ソフト・シンセに関しては音源専用機のWindowsマシンで鳴らしていて、そのオーディオ出力をADATデジタルでPro Tools|HDシステムに入れていたんですね。だからRTASで鳴らしていたわけではなくて、VSTで使っていたんですけど、それでも全然音が違う。このシンセ、こんなに良い音だったんだと感心するくらいでしたよ(笑)。

 かなり前にKrystal Audio Engine使ったことがあったんですよね。ライブでステム・ミックスをポン出しするソフトウェアが必要になったときがあって、何か良いものはないかなと思ってたまたま発見したのがKrystal Audio Engineで。そのときも、凄い音が良いソフトウェアだなと思ったんですが、それがStudio Oneの前身だと知って納得でした。

—— Pro Tools|HDのサウンドとは
 正直言うと、使いつつも満足しているわけではありませんでした(笑)。他のJ-POPのプロデューサーと比べると、そんなに音数を入れる方ではないと思うんですよね。そんな僕の楽曲でも、いろいろ音を重ねていくと、上の帯域の位相がちょっと気になり始めたりとか..。あと、音圧もそうですね。上がパツンとしちゃう感じが気になることが多々ありました。最近の音楽ってレベルを突っ込むじゃないですか。そういう音楽だと、Pro ToolsよりもCubaseやNuendoで作った方がストレスは少ないんだろうなとか、それはずっと考えていましたね。音を積んでいっても、上の方を気にすることは少ないんだろうなとか。あと、CubaseやNuendoの方が、Pro Tools|HDよりもパッと再生しただけでも派手めの音に聴こえるじゃないですか。その感じも良いなと思っていましたよ。それでも、ネイティブ・プロセッシングに懐疑的だったので、Pro Tools|HDをずっと使っていたという感じですね。

MelodyneのDNAのおかげでレンダリングしてもいつでも戻れる

—— 音質以外でStudio Oneの気に入っている点は
 みんな言いますけど、やっぱりMelodyneがインテグレートできるというのは非常に大きいですよね。僕がやっているような音楽では、ハモリやダブルを作る作業がとても重要になってくるので..。Melodyneは、別に他のDAWでも使えるじゃんって言う人もいるかもしれないですけど、レンダリングした後でも元のオーディオ・データが裏に残っていて、いつでも前の状態に戻ることができるというのはStudio Oneならではのものだと思います。

 あとは、ユーザー・インターフェースもシンプルで使いやすいですね。昔からあるソフトウェアって、メニューの項目やウィンドウの数が増えて、まったく整理されていなかったりするじゃないですか。メニューを開いて、そこからさらにサブ・メニューがあったりとか、もはやコンピューターを使うメリットを放棄しているとしか思えないですよ(笑)。

 その点、Studio Oneは新しいしモダンな考え方のソフトウェアなので、すべてがシンプルで使っていて気持ちがいい。ウィンドウのデザインも、後発故に他のDAWの良いところ取りな感じがします。基本はLogicなんかと同じシングル・ウィンドウ/3ペイン・デザインなんですけど、Cubaseのようにインスペクタとかを開くこともできたりとか..。最近、新しいMacBook Pro Retinaディスプレイ・モデルを買って、そっちでも使っているんですけど、ノート型PCだとシングル・ウィンドウの操作性の良さは特に感じますね。僕の場合はソフト・シンセ用にVienna Ensemble Proを使っているので、厳密にはシングル・ウィンドウにはならないんですけど(笑)。あとは動作が軽いところも気に入っています。これも新しいソフトウェアだからなんでしょうが、CubaseやLogicよりも明らかに動作が軽快ですよ。

Vienna Ensemble Proでソフト・シンセを64bit環境で使用可能に

—— Vienna Ensemble Proを併用している理由とは
 Studio Oneは64bitで使っているので、32bitにしか対応していないソフト・シンセを使いたいというのが一番の理由ですね。本当は断捨離すればいいんでしょうけど(笑)、どうしても手放せないものがいくつかあるんです。また、64bit対応したソフト・シンセでも、Native Instruments Kontaktのようなストリーミング系のものは、Vienna Ensemble Proで使った方が安定するんですよ。Studio Oneの中で使用すると、CPUのコアの消費の仕方がちょっと効率的でなかったりするんですよね。その辺の管理がまだ発展途上なのか、Vienna Ensemble Proを併用した方が効率的に使える。同じCPUでも、同時に立ち上げられるソフト・シンセの数が多くなるんです。

Vienna Ensemble Proの利便性を披露する浅田氏

—— 付属のエフェクトやソフト・シンセは
 お世辞抜きに凄く良いです。j-Pad Girlsというプロジェクトもやっているんですが、そこでも大活躍ですね。j-Pad Girlsは、伴奏もすべて女性の声だけで構成された音楽なんですけど、自分の中でサンプラーだけは使わないという決まりを設けているんです。あくまでもオーディオの編集だけで楽曲を作る..。だからもの凄く時間はかかるんですけど、サンプラーを使ってしまうとおもしろくなくなっちゃうんですよね。

 例えばX-Trem。Studio Oneのテンポに合うトレモロ・エフェクトなんですけど、これがメチャクチャ良いんですよ。その出力に、さらにAmpire XTをかけて歪ませたりすると往年のコルグ WAVESTATION的な音が得られたりする。あとはAuto Filterも良いですね。利き方がエグくて、ワウみたいな効果も得られる。これにX-Tremを組み合わせるともう最高。それとコンボリューション・リバーブのOpenairが凄く良く出来ているんですよ。これまで、何種類もリバーブを使ってきましたけど、どれも音が埋もれてしまう感じでピンとくるものが無かったんですよね。その点、Openairは64bit処理のおかげなのか、自然な響きなんだけどしっかり残ってくれるサウンドというか..。自分でIRデータも作れるし付属とは思えない質のプラグインですね。

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