—— オーディオだけでトラックメイクするアーティストも増えていますが
ですよね。ちょっと前に若い子に自分のデータを見せたら、「うわ、全部MIDIだ。すげぇ!」と驚かれましたから(笑)。僕からすると、オーディオだけで曲を作る方が意味分からないですけどね(笑)。
—— 『LOVEBEAT』あたりから、リズム・トラックのグルーヴ感が増していったような印象を受けますが
そうですね。でも最近はパーセンテージでシャッフルさせることってほとんどなくて、タイミングはほぼジャストです。『LOVEBEAT』の時は人真似のような感じで、ああいうグルーヴを作り始めたのですが、ずっと借り物のような感じがしていました。打ち込みながらも、こういうグルーヴって自分の体の中には無いものだなって(笑)。だから最近はずっとジャストですね。
—— 以前に「自分にはテイ・トウワさんのようなブラック・ミュージックの刷り込みがない」とコメントされていましたが
そうそう。だからもう自分はジャストでいこうと。でもジャストでもいい感じのグルーヴが作れると思います。例えばドンというキックの前に64分音符で小さく「チッ」という音を入れることで、単なるドンがドワッになったりする。ギターの空ピックと同じイメージですね。
Studio Oneの魅力を語る砂原良徳氏
METAFIVEも、僕が手掛けた曲は全部ジャストですよ。テイさんとの共作で『Albore』という曲がありますが、あれも最初はシャッフルでしたけど、僕がジャストに直してしまいました(笑)。発音はジャストですけどリリースも重要で、かなり時間をかけて調整しますね。リリースの調整のために、ひたすらループさせているのが何日も続くことがありますよ。
—— SWITCHの切っ掛けは
『ノーコン・キッド 〜ぼくらのゲーム史〜』というテレビ・ドラマの劇伴を手掛けることになって、他のソフトウェアに移ろうと思いました。Logicは、長い間使っていましたけど、実は不満だらけでした。とにかく反応が鈍くて、すぐにレインボー・カーソルがくるくる回り始める。音質的にもクセがあって、これはちょっと信用できないなと思っていたので、ずっと他のソフトウェアに移ろうとは思っていましたね。
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—— Studio Oneを選ばれた理由とは
人から「合ってるんじゃない?」と薦められて、とりあえず試してみたところ、すんなり使えたんですよ。Logicのショート・カットも用意されていて、これはいいなと。制作に入るまで、曲作りが嫌になっていたのですけど(笑)、Studio Oneのおかげでまた曲作りをやろうという気になりましたね。いや、冗談ではなく本当に(笑)。新しいソフトウェアですけど、元Steinbergのエンジニア達が開発しているということで、安心感があったのも大きかったですね。
トラックメイクする砂原良徳氏
—— Studio Oneの使用感は
何より反応が速いのが良いです。例えそれが0.5秒の違いでも、作業ではその積み重ねですから、制作にはかなり影響を与える。あと音質も評判どおり良かったですね。良かったというより、これが普通だよな、これが正しい音だよなっていう。音が正確になったのでLogicで作業していた時よりも姿勢が良くなりましたね(笑)。あとは操作がシンプルなところもいいなと思います。これまでマニュアルは一度も見てないですが、問題なく使えていますし。iPhoneとかと一緒ですよ。それとLogicでは使えなかったVSTプラグインが使えるようになったのも嬉しかったですね(笑)。
—— MIDIシーケンス機能は
Studio Oneに移行する時に唯一不安だったのはMIDIリスト・ウィンドウがないことでしたけど、実際に使い始めてみるとまったく問題なかったです。逆にリスト・ウィンドウがなくても、最終的には耳で判断するわけで、その方が結果的に良かったと思います。数値で音楽を聴いているわけでもないですし。Studio Oneへ望むとすればクォンタイズの充実だけですかね。自分の作業では必要ないですけど、頼まれ仕事ではもうちょっと細かく設定できたらいいなと感じたことがあったので..。でも本当にそれくらいですよ。
—— 特に気に入っている機能とは
機能よりも、総合的な使い易さが一番気に入っています。本当に手探りで使えてしまうソフトウェアなので、凄く使い易いですね。あとは動作が軽くて、音がフラットで素直なところも気に入っていますね。動作が軽いというのは大きいです。思い浮かんだアイディアはすぐに形にしたいですし、Studio Oneを使い始めてから曲作りがまた楽しくなってきましたよ(笑)。
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