—— 高音質配信を謳っているプラットフォーム等もありますが、収録する機材も良くなければ、結局音は良くならないということなのでしょうか?
ライブ配信でのエアの重要性を語る西川一三氏
西川:それもあるんですが、ライブのライン録りと言われるものが原因ですね。PA ミキサーでミックスされた音を、レコーダーで録っているだけなんです。大体の場合、配信のときにはエアのマイクが何本か立ってるんですが、こちらはその混ぜ方とかが分からない。もちろん、その専門業者もあるんですが、アーティスト事務所さん等は「PA の方でやってください」みたいな。で、いざそれをやって、配信の音を聴いてみたら「あれ?」「これは、何が起こっているんだろう?」ということになっていて……。
エアのマイクを立てて、エアに入ってきた音とミキサーからのライン録りのタイミングは、絶対にずれるんですよ。ミキサーから録った方が音が早くて、エアのマイクに入ってきた音はスピーカーから出た音なので、遅れるんですよ。そこのタイミングが合わないのでおかしなことになるのではないか、ということで、まず最初にそこを合わせることから始めたんです。
そのときに、エアのマイクというのはとても重要になるんですが、郁子ちゃんが持っていた「OC818」の音を「キチム」でのピアノの音で聴かせてもらったら「エアだけどこんなに良い感じで録れるの!?」と驚いて、これを配信で使ったら良いんじゃないの、と借りて使い始めたら、凄く良かった。
原田:西川さんは本当に革新的というか、ライブ配信というものを皆が手探りで少しずつやり始めた早い時期から、"箱鳴り" や "音圧" を大事にしようとこだわっていたんですよね。もちろんライブ会場でダイレクトに感じられる音ではないわけだけど、そこにどうしたら臨場感を生み出せるかって。クラムボンが初めて生配信したときも、「OC818 Live Set」を使ってましたね。